「突然、学校を辞めたことを言ってるわけじゃない。」
「じゃあ何」
「俺はお前を無理させたみたいだ。」
俺の凄い友人はこういう奴だった。
「そんなことねーよ。」
こんな口調もひさしぶりだ。
「そうか。」
ひさしぶりだけどいつもどおりだ。
「変わってないな。」
「変わったってば。」
ふと、聞いてみたかったことを思い出す。
「お前、俺が初めて話し掛けたときどう思った?」
「・・・変な奴」
「じゃ今は」
「可愛い奴。」
何だソレ。
「何、可愛い?」
「あのときからな、何となく弟みたいだと思ってて。」
「俺、同い年。」
「小さいだろう。」
「並だっつの」
お前がでかいんだよ。
「お前は今でも素直だよ。」
「ん?そうか?」
何か雰囲気を変えて言われたので動揺した。
「今度会おう。」
「え」
「忙しいか?」
「う、ううん、なんとかする。」
「うちに来いよ」
「あ、」
久しぶりに興奮した。
「うちの会社にも来いよ。」
きっと今、奴は驚いている。
「平日の夕方ならだいたいそっちいるし。
電話してくれれば、あ、携帯の番号教える。」
「あぁ。」
微笑んでくれているのだろうか。
「じゃあ行く。」
「おう絶対来い。」
嬉しかった。
今からウキウキする。
俺はガキみたいだ。
ガキなんだ。あの頃のままの。
「お前が変わってなくて嬉しいよ。」
「お互い様だ。」
「楽しみだ。」
「俺もだ。」
俺は平和だ。
俺は幸せだ。
俺はまだやっていける。
俺は奴を尊敬しているわけではない。
奴は俺の友人だ。
奴は凄いよ。
俺は奴の友人だ。
奴の友人である俺も凄い。
今度会う。
楽しみだ。
あの雑誌の写真とあの頃と、どっちに似ているだろう。
どっちも同じ。
どっちでも同じ。
楽しみだ。
俺は、
奴は何を話すだろう。
end.
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