次の日の昼休みに結果を聞いたんだ。
「身分不相応」
奴はそう称した。
俺は怒った。
奴は大切な所を俺には話さなかったが。
「世の中には・・・」
奴は俺の怒りの声をさえぎって言った。
「差別とかがある。仕方ない。誰でも世間体は気にする。
だから化粧もするし、愛想笑いもする。」
「お前の髪、地毛だろ」
奴は少し俺の顔を見た。
「兄弟のこととか関係ないし。
お兄さん刺したとかそんなの理由あるんだろ。お前さ、好きでそんなことする奴じゃねぇもん。」
俺は不条理だと思うから怒る。
何でそいつが怒らないかがわからない。
もう、疲れてるのかもしれない。
「彼女が怒るのは当然だ」
「逆ギレだろ」
「人に自分の醜いところを指摘されて怒らない奴はいない」
「お前だって怒っていいはずだ。」
俺は言った。
「別に怒らなくてもいいだろう。」
そいつはまたフェンスの向こうを見ていた。
「お前彼女欲しいか?」
「は?何言ってるんだ」
そいつは唐突に質問をしてきた。
繰り返して聞いた。
「お前は誰かと付き合いたいか?」
「そりゃ・・・そのうちには・・・」
そいつは立ち上がりながら言った。
「じゃあ俺といるべきではない」
俺も立ち上がった。
「殴るぞ。」
「俺といても何も得しない」
「それは」
俺はそのとき胸を張って反論した。
「俺の決めることだ。」
きっぱり言い放った。
ちょっと自分はカッコよかったんじゃないかと思う。
だがそいつは俺の頭をぽんぽんとなでて言った。
「お前は大物になれるよ。」
ちょっと微笑んで言った。
チャイムが鳴った。
出口のほうへ歩いていく。
--お前は大物になれるよ。
なんだそれと思った。
なんなんだよ。
(続く)
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