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ついった
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「想像してみたんだ。
 もし、僕が夕日を見たくなったとして。
 しかも何度も、そんな気分になることってあるだろ?
 ほんの少し椅子を動かすだけで四十四度も夕日が見れるとか。
 そんな風に思えばよかったのだけど、
 僕は大気が汚れたら空が真っ赤になるって、そんなことを思い出して、
 空気が汚くなって、そして空が真っ赤に濁ってゆくところを想像した。
 それはそれは真っ赤になった。
 太陽が上にある間は。
 でもね、太陽が傾いていったら、暗くなっていって、
 地面に沈む前に見えなくなってしまったな。
 
 僕はもっとちゃんと、夕日だけのことを思えなかったのかな。
 空気が綺麗でも綺麗じゃなくても。椅子があろうとなかろうと。
 僕は夕日を思い浮かべることができたんじゃないかなぁ。」
彼は本物の夕日を見た後。
それが沈んで、空がすっかり暗くなって、遠くの果てだけが赤く光るようになった頃に。
そんなことを言った。
言ってから。「僕はちょっと不器用なんだ」とちいさくつぶやいた。
苦しそうで、悲しそうな呟きだった。

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