「アタシのおとうさまとおかあさま。最近とっても若いでしょう?
あれはつまりおとうさまとおかあさまに沢山恋人がいるってことなの。」
「うん。」
「おかあさまなんて、すっごいお爺さんから若ぁい子までいっぱい恋人がいるのよ?
で、お爺さんと会うからって姿を変えるわけじゃあないから、そのままゆくのね。
お爺さんももう付き合いも長いし、知ってるのよ、おかあさまが何で若返ってるか。それでもね、その人はおかあさまに「今日もとびっきり美しいね」とかゆったりするわけ。」
「うん。」
「でもおかあさまも恋人たち一人ひとりみんな大好きなんだわ。ちゃんと愛してるの。誰かが病気になっては心配して、誰かが死んだら泣くのよ。」
「うん。」
「おとうさまもそうね。でもあの人たち二人は愛し合ってるのかしら?」
「ちゃんと愛し合っておいでだよ。君のことも愛しているし。」
「そう?なんで貴方にはわかるの?」
「君より年上だからかな。」
「そんなもんかしらね…」
「お針子のジョシィと門番のピエットが最近付き合い始めたって知ってる?」
「え!そうなの。全然気づかなかったし、意外だわ。」
「これは僕も気づかなかったよ。侍女頭が教えてくれたんだ」
「…他人の色恋なんてわかんないもんのね…」
「例えに使うには少し身分違いで失礼だったかな。」
「そんなの気にしてどうすんのよ。アタシがチクったりするわけ?」
「チクるとか、あんまり言葉がよくないですよ、お嬢様」
「言葉遣いとかはアンタに教師ぶられたくないわぁー」
「なんで。一応気をつけてるのにな。」
「胡散臭い口調してるわよ。うつりたくなぁいの。」
「メルはひどいなぁ」
・・・・・・・・・・
台詞のみ。
メルと家庭教師の男。
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