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ついった
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父王は目が見えなかった。
悪魔にやってしまった。
いつも父王に付き従って、父の視力の代わりに国をあらゆる災害から護っていた。
父王が死んだとき、悪魔は母上とともに泣き悲しみ、しまいには自ら父王の墓の前で息を絶った。
兄王は王位を継いだとき、右足を失った。
別の悪魔にやってしまった。
兄王が生まれたときに祝福に来て、成人したときからずっと傍に付いていた、その悪魔にやってしまった。
国王は悪魔と契約し、体の一部と引き換えに国をあらゆる災害から護る。
兄王に第一子が授かったときは、また別の悪魔がそっと祝福に来たのだった。
赤ん坊を見て、悪魔とは思えないほど嬉しそうに微笑んでいた。
私には悪魔はいなかった。
王位はその赤ん坊が継ぐはずだからだ。
しかし兄王は早くに逝った。
流行病だった。
義姉上も逝き、私は兄の悪魔が険しい顔で棺を見つめるのを見た。
国内の病は彼のおかげで既に治まっていた。

兄の悪魔は言った。
「王子はまだ赤子だ。王には一時的にお前がなることになるだろう。
 俺と契約してほしい。まだこの国を護りたい。」
私はこの国の為に、臨時で、悪魔に何かを捧げねばならないのだろうか?
「お前に護ってもらおうとは思わないよ。私は自分でこの国を護る。」
私はそう言ってしまった。何故私は、この国の常を守らずそんなことを言ってしまったのか。
今まで王になる気もなかった自分が、国を護れるのか?
「…では、俺は、勝手にこの国を護る。これは契約ではない。俺の自由意志だ。」
私はその申し出に、愚かしいことに安堵していた。
「それはありがたい話だ。」
そっけなく言った。
私は自分を少しも欠くことなく、王位と加護を手にいれた。

 
 
 
バイト中に浮かんだ文。
ここまで。

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