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ついった
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「むかぁしむかしのお話だよ。」
そう言って眠る前にたまに話をする。
隣でワクワクと、でも眠たげに目を細めるもう一人の為に。
「それはあんまりにもつまらなくって、つまらなくってしょうがなかったからかも知れないし。ただ単に探究心に惹かれていったのかもしれないし。」
いつかの時代のいつかの場所。
でも主人公はたぶんいつも一緒なのだ。
「ともかく、空を飛んでったんだ。
 ずっと、ずっと遠くへ行くのは、もうよくなってしまったから。
 ずっと、ずっと高くへ行ったんだ。」
今夜はどうも、ロマンチックな恋物語でも、勇敢な冒険譚でもなさそうだ。
楽しい話、悲しい話、どっちも今までにたくさんあった。
そしていずれも、今話すにはちょっと寂しい昔話ばかりだった。
「そいつは、随分立派な鳥のつもりだったけどね。
 よだかみたいにもなれはしなかったんだよ。
 ずっとずっと、冷たい冷たい夜空を昇って昇って、
 でもふっと目が覚めたら、草っ原にボロボロになって倒れていた。」
そこまで話して横を向く。
「もう寝ちゃった?」
物語を聞いていたただ一人は眼を細めながらもゆっくり首を振った。
「夜空ハ綺麗、ダったかイ?」
話し手はとても幸福そうに息を吐くと
「綺麗だったよ」
と、言った。
「フム。」
聴き手も満足げにうなずくとモゾモゾと布団をひっぱった。
話し手も一緒に布団にもぐりこんだ。
「オヤスミ。今日は最後まで聞けたね」
「いつモ、聴いてル」
クツクツと、笑って。

「オヤスミ」

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