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ついった
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人々の歓声と、太鼓のリズムが聴こえる。
太鼓の音は早く、原始的な拍子。
町中にかがり火が焚かれ、旗が掲げられた。
空は青、藤色、黄色からオレンジ。
日が沈む。
灰色く翳った雲のエッジだけが、残る光を浴びて黄色く光っていた。
暗くなっていく視界にかがり火の炎がちらつく。
風が吹いて旗が鳴った。
私は思い出す。
彼女との出会いのことを。
彼女との始まりのことを。
こんな空の色だった。
かがり火の炎のような黄色いちらつきをあの日も見た。

世界が壊れるほどの魔力を持った人間。
その誕生の話を聞いたのはその時よりさらに十年以上前だった。
「ガーランディア、黄金の君、あなたの名前も使われている」
「愚かな人の親が、でたらめに作り出してしまった。あの力が暴走したら、世界は無くなってしまうかもしれない」
途方も無い話だった。
魔法の名家として魔力の強い子供を望んだ親が、自分の子の首に施した魔法文字。
神々の名を強引に繋いだその文字は、その親の望んだ以上に大きな効果をもたらした。
神々は戦慄した。
「早くその子供を殺してしまった方がいいのではないのか」
「器を失った魔力が、暴走したらどうする」
消すことも出来ず、封じることも出来ず、
神々は結局、ただ様子を見ることにとどまる。
神は人を積極的には導かない、神は人を特に救わない。
神は人より多くを知り、多くの力を持つだけ。
神は世界を滅ぼす力の存在を知った。
それだけだった。

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