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ついった
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赤い鳥居
阿吽の狛犬
彼岸花の園

…シャラン
…シャラン

鈴の音

輿が来る。
あの人の輿が来る。

鳥居の中から
輿が来る。

…シャラン
…シャラン

目の前で止まる
簾が上がる。
中には真っ白な
九尾の狐人。

「ひさしぶりだ」

至極嬉しそうに微笑む顔。
私はそれに笑むこともできない。
ただ見ている。

「外はもう桜が咲きましたか」

私は「いいえ」と言いかけて、
ふと、
言葉を直す

「そろそろです」

あの人は驚いた顔をした。
驚いた顔をした。

「春ですね」

あの人の言葉に霊が乗る。
彼岸花の園を抜け吹き抜ける。
遠くまで
春が届く

「春ですね」

私は繰り返した。
ゆっくりと簾が下がる。
輿が行く。
あの人が行く。

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