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ついった
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「じゃあお祭りを楽しんでくるといいよ。僕も気が向いたら顔を出すかもね」
奴はそう言って闇の中へ去っていった。
どうせ祭りに来ている女をたぶらかしに街の外れに来るのだろう。
私とストロベリーは街道へ戻った。
街までは大した距離では無い。
大きい街だ。
農業の街。そして狩猟の街だ。
街道を少し行くと、麦畑が大きく広がる。
収穫の季節。そこは黄金に染まる。
赤や青に塗られた木のシンボルが祭りの時期には畑に立つ。
私の胸の印と同じ…または同じ起源の形だ。
街の周りはもちろん他の作物の畑も多く存在した。
街から少し離れた山とその麓には鹿や兎が多く棲み、そこは狩猟の場となっている。
フレグランスは闇の眷属であるが、狩猟の神でもある。
奴を祭る神殿も多分街にあるのだろう。
街には象牙色の壁の二階、三階建ての建物が並ぶ。
農作物が通る道は広くとられ、荷車が通り易いように道は舗装されている。
今は祭りの為に建物からは畑に立てられたシンボルと同様の印が染め抜かれた麻の大布が下がっている。
そしてそこここに黄色の花が飾られていた。
出店が建ち並び、祭りの衣装を着た人々が街を踊り歩き回る。

街に入ると黄色の花輪をかけられた。
彼女には花の冠を。
「"ガーランド"は花冠の意味を持つ。勝利や豊穣の象徴だわ」
彼女は言った。
「"ガーラ"…発音はどっちかって言うと"ゲイラ"だけど、それはお祭りの意味」
彼女は魔法の研究をしているから、言葉や物事の意味に敏感で詳しい。
「ガーランディアと言う名と、それが関係あるかはわからないけど」
青い瞳が微かに細められ、祭りに浮かれる街に注がれている。
"カーラ"という名の意味を聞こうかと思った。
ただのあだ名だと思われた。
しかし彼女が私につけた名というだけで、
この名には意味があると思われる。
私は彼女に何も聞かなかった。
「さて。私たちも祭り衣装に着替えましょう」
「あぁ…」
彼女の後ろ姿についていく。
黄色い花の溢れる街を。

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