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ついった
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なんだか迷わずズカズカ進んでく兄貴に小走りで追いつきつつ話し掛けた。
「あのさ、俺らがバンド組むの賛成なんだよな。つかあの人平気なの。」
振り返るとバサバサの灰髪で下を向いて歩いてる男。
下ばかり見ているから人にドカドカぶつかられていて。
不安。
「そりゃ賛成するでしょ。俺お前のお兄様なんだよね。
することも無く学校サボってプラプラしてる弟がやること見つけたら嬉しいよね当然。
しかもアレ一応俺の友人サマの弟君で元俺のバンドメンバなのだから。」
なんだかガンガン進んでいくから。
その「アレ」がとてつもなく置いていかれてるのですが。
「あの、俺は強引に誘われただけでそんなにあの本格的にするのですか。」
茶髪ロン毛の女顔でコイツがいたらビジュアル系かなぁみたいなソイツも動揺しつつ兄貴に質問した。
「いや知らないよ。君たちが本格的にやりたいなら手を貸すよけどね。
 俺様音楽会社の社長さんだからさー」
振り返るとやっぱり人にぶつかってるあの人で。
でも俺らとの距離は離れないのが不思議だ。
「ひとまずしばらくスタジオ貸したげるから。
 これがね、一見マンションの一室なんだけど、やっぱりマンションの一室なんだよねー。」
そこで兄貴は振り返って少し止まった。
「全也。お前そこに寝泊りしていいぞ。居住空間もばっちしだかんな。
 お前、福音んとこから出たいんだろ?」
その灰色の男は顔をあげて顔色も変えずに言った。
「姉貴に怒られませんか?」
兄貴は笑って言った。
「怒られるけどいいんだよ。」
兄貴は元の方を向いて歩き出した。

俺もヒロも全也も。
そのとき兄貴について行った。
着いたのはあの部屋で。
俺達は未だ。
そこから出て行かない。

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