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ついった
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「お、羊じゃーん」
道の途中で友人に出会う。
上下がちょうど逆さま。
見上げた。
「相変わらずイカレタカッコだなぁ。」
笑う顔。
僕の格好は緑ベースのチェックの帽子とズボンと、白いシャツに青いネクタイ、
それと裾にファーのついたトレンチコートだった。
「相変わらずラフじゃないか、リオ」
百獣の王の名を持つ友人は、ゴツめの赤いのジャケットに擦れて弛いジーンズ。
髪も寝癖そのままといった風だ。
「ヒヒ、人はそうそう変わらないね。バフの話は聞いたかい?
ヤツ、喧嘩して歯を3本折ったそうだよ」
ふーん、と軽く相槌を打ってから聞く
「相手は?」
ニッと、リオは笑った。
「勿論ボコボコだよー。入院したそうだよ。
病院送りってやつ!」
僕はバフ本人が、同じように得意そうにニッと笑う姿を想像した。
折れた歯で。
僕もニヤリと笑う。
「なかなか爽快だな」
リオはヒヒッと肩を揺らした。
「羊、仕事は?」
「これから行くとこ」
イヤホンから声。
――緑の兎が行き詰るまで3分。誰か到達できたか?
「公務員だっけ?お堅いよなぁ。
 教師でもしてんの?」
「ハッ、まさか」
何気なく腕をあげて時計を見た。
「出勤中?」
「うん、そうだね」
――♪
突然、道に電子音が響き渡った
――ラビット・タウンホールより市民の皆様へ。
――市民番号056-10078T様が、スター・ヒルにて自殺。
――座標はG-002、下向き。
――詳細はタウンネットまで。
放送はそれだけ言ってふっと消えた。
リオは口を尖らせて肩をすくめた。
「最近多いな」
「まったくだ」
タウンでは自殺が流行中。
兎は寂しいと死んでしまう などという馬鹿げた見出しが新聞に躍ったのも、
もうちょっとした昔。
今はそんな冗談を言ってる場合ではないほど、ことは深刻らしい。
またイヤホンに声。
――赤の兎が行き詰るまで10分。R-232。
僕は息を吐いた。
もう一度時計を見る。
「僕はそろそろ行かなくっちゃ。」
小走りに歩き出す。
「ふーん、途中まで行くよ」
リオがついてきた。

  

 
・・・・・・・・・・・
あ、ヤバ。
間に合わなくなっちゃう。
出かけなきゃ
あああ途中なのにぃ

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