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ついった
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俺は彼女に屋上に呼び出された。
彼女はいつもより強く見えた。
強く見せようとしているように見えた。
「私と付き合ってください。」
そう言った。
俺は冷たい目をしていたかもしれない。
「付き合えない。」
彼女は目をそらした。
消え入りそうな声で
「ごめんなさい」
と言ったが、意味がわからない。
「俺は、お前が奴を振った理由が気に食わない。」
彼女は目を見開いてこっちを見た。
「見損なった。」
俺はムカムカする腹と非常に不本意だが罪悪感にきしむ胃で、
その場を後にした。
彼女は
泣いていた。
俺には意味がわからない。

で、次の日の昼休み、それを奴に報告した。

「俺はお前が不当に評価されているのが気に食わないんだ。
 そんな風にお前を見てる奴はバカだ。」
屋上は今日は静かだ。
風は時々、緩く吹いた。
「それが『普通』なんだろう?前にお前はそう言ったろ。」
俺は鼻で笑う。
「だから『普通』は嫌いだ」
「お前、彼女が欲しいんじゃなかったか?」
「バカはいらない」
そいつはこっちを向いた。
「矛盾している。」
「してない」
「してるさ。」
今度はそいつが笑った。
「彼女が欲しいならおれといちゃいけない。
 『普通』で合ったほうができる可能性が高い。」
「欲しいって言ってもなんでもいいわけじゃないぞ。
 自分と考えが合わないのなんか嫌だ。」
「なるほど。」
チャイムが鳴った。
そいつは動かないし、俺も動かない。
「また『普通』じゃなくなった。」
そいつは言った。
「このぐらい普通だ。」
俺は言った。
日が暖かい。
弱い風が心地よかった。
「お前は、俺のことがなかったら、彼女の告白受けたろ?」
「・・・受けたかもな。」
奴は先を言わない。
「でも、それは知らなかったからだ。
 お前だって、彼女がお前のことよく知らなかったら彼女はOKだしたかも知れないだろ。」
そいつは目を細めて雲を見ていた。
「頭いいな。」
「何だソレ」
奴は俺の望むようなことを、この時は言わなかった。
(続く)

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