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ついった
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風の吹く海岸の砂浜と道を分けるところ。
コンクリート階段のわきに座って、ミノリは海に沈む夕日を見て笑った。
「ミノリ」
「何ぃー?」
向かい風に向かって笑っている。
風が気持ちいいと思ってるんだろう。
「ミノリ、好きだよ。」
ミノリが本当にビックリして、こっちを見た。
「嘘。」
僕はというとちょっと困ったように笑ったんだ。
多分そういう顔をしていた。
「否定しないで、君に否定されたら僕のこんな気持ち、消してしまうから。」
何も言葉にしなければ伝わらないことがわかっていたから。
全部言葉にしてみる。
言わなくても幸せだったから。
言わなければ維持されたから。
言わなかったのだけど。
「ケンイチは、知ってるの?」
思ったより、言った後の僕の気持ちは穏やかだった。
僕は彼女がとても優しいことも、
僕になびく気が少しも無いことを、
確認できたのだった。
「言ってないけど知ってるよ。」
これはそういう実験だったんだ。
「タクが」
ミノリは自分の言いたくない種類のこともちゃんと僕の為に言ってくれるのだ。
「そういうの思ってると思わなかったし、思っても言わないと思ってた。」
「ゴメンね」
ミノリはヒザを抱えて頭を落とした。
「油断したなぁー」
「ゴメンね」
ミノリは「へっ」と笑っていった。
「謝んな」
僕は思わず笑顔になって言うのだ。
「うん。」
「私はケンイチの事が好きだから。」
「うん。」
「ていうか知ってるよね。」
「うん。」
「ねぇアタシなんかタクに言わなきゃいけないことある?」
「僕もケンイチのことが好きだよ。」
ミノリが息を吐いて僕を見た。
「うん。いいよ。話したいのはタクなんでしょ?」
「うん。」
僕は何だかたくさんのことを話した。
夕日が沈んで星が見えて。
ミノリを家まで送ってから、僕は自分の家に帰った。

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