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ついった
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「言葉っていうのは、ほんの一片の欠片であって、
 …きっと、だから美しいんだ」
ツグミ鳥は草の上にボクと一緒にひざを抱えて座っていた。
ボクの住む小さな星(大地が丸いのだからきっと星なんだ、と最近覚えた)は、綺麗な夜に囲まれていた。
星はあるけど月はないんだ。
でも月がどんなものかは知ってる。
本で読んだし、ツグミ鳥が教えてくれた。
「ボク、言葉を沢山欲しいな、それに沢山知って沢山覚えたいよ」
ボクはツグミ鳥に言った。
ツグミ鳥が空の遠くのほうを眺めていたから。
でもツグミ鳥がゆっくりコチラを見たから、ボクは続けて言った、
「美しいもの、沢山欲しいよ」
ツグミ鳥は笑ってボクの頭をなでた。
何でなでられたのかわからなかったけど、ボクはうれしくて、帽子の下の耳と、ズボンの下の尻尾がピクピクとした。
ツグミ鳥は立ち上がってお尻についた草をはたいた。
「じゃあまた言葉探しをしような、綺麗な言葉を見つけたら、それについて沢山話そう」
ボクは嬉しくて慌てて立ち上がった。
ツグミ鳥がかがんでボクのお尻を払ってくれた。
一緒に家のドアをくぐる。
家中にある本棚が僕たちを迎えてくれる。
ボクとツグミ鳥がよくする遊びなのだ。
いろんな本の中をひっかきまわして、綺麗な言葉、面白い言葉、かわいい言葉なんかを探すんだ。(それは字の形のことだったり言葉の音のことだったりなんでもいいんだ!)
そして、その言葉をじっと眺めて、どこが綺麗なのか、どんな意味に見えるか、本当はどんな意味なのか、どんなカンジがするか
あとツグミ鳥がその言葉で思い出した物語や実際に体験したことを話してくれる。
色々な話をしている間にでてきた新しい知らない言葉についてまた調べたり、他の美しい言葉に気づいたり。
ボクはこの遊びが本当に好きだった。
ツグミ鳥がいない日は、ボクはそんな遊びの中でみつけた言葉をカードにして、色でわけて棚にしまった。
色はボクが決める。
話の中浮かんだカンジを目を瞑ってずっとおっかけていくと、パッと色が広がる瞬間があるんだ。
その色がその言葉の色。
色のついたボクの宝物。
ボクは何度もその棚を眺めた。
その棚に言葉が増えるのが楽しみだった。

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