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ついった
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屋上。風が強い。
彼女は髪とスカートを押さえた。
彼は入り口の建物の影に彼女を誘った。
風の鳴る音だけがしばらく響いた。
二人は少し距離を置いて立っている
彼女は彼から目をそらし、ふせた。
「好きだよ。」
風向きが変わって突然吹き込んだ。
でも彼女は彼の目を見た。
彼の目は灰色だった。
彼はもう彼女のほうを見ていなくて、フェンスの向こうの空を見ていた。
光が映って綺麗だった。
「ごめんなさい」
彼女は泣きそうだった。
彼は空を見たままだ。
「私、あなたのことを知らないし・・・
 なんか怖い・・・イメージだったし・・・」
彼女は怯えたように言った。
必死に言葉を繋げていた。
「それに・・・」
「俺のことは」
彼の声がさえぎった。
「知っているんだろう。だから、だ。」
変に澄んだ声だった。彼はもうすべてわかってしまっていた。
彼女は彼のほうにしっかりと向いた。目を見て言った。
「だって、しょうがないじゃない」
強い口調になって言った。
「貴方の兄弟は皆腹違いだって言うし、お兄さんを昔刺したんでしょう?
 髪だって灰色で、全然、普通じゃないじゃない」
ヒステリックにわめくように言う。
「私は普通なの。貴方となんていられない。」
彼は空を見ていた。
「彼からも手を引いて欲しいの」
彼女は強く言った。普段のやさしい面影はもはや無い。
「彼だって迷惑なはずだわ。貴方といるだけで他の人は皆、陰口をいうのよ。」
彼の反応がないからただ強く言葉を叩き付けていた彼女は、ふと彼がこっちを向いたのでびくりと身を固めた。
「お前、あいつの事好きだしな。」
彼女の頭をぽんとなでた。
「俺が悪かった。」
そう言って彼は校内に帰っていった。
彼女は・・・
(続く)

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