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ついった
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それから、毎日のように昼休みにはそいつのところにいった。
そいつは大抵屋上にいる。
まぁバイトだかでたまにいないけど。曜日がランダムな気もする。何でだろ。
放課後もたまに一緒に帰った。俺もそいつも帰宅部だ。
でも驚いたことに、休み時間に席に行って話し掛けると無視しやがる。
こっちを睨んで、目で拒絶した。
昼休みになるとケロリとしているので俺は怒った。
そいつはいつも通りの抑揚の少ない声で
「俺なんかと友達じゃないほうがいいのさ」
と言った。
俺は怒った。
結構本気で怒った。
そいつは驚いた。
「教室で無視したらぶっ殺す。」
そう言って俺は走ってドアを開けて階段を下りた。
ガキみたいだ。
でも俺は間違えてないだろう。
自分に言い聞かせようとすると頭がグルグルした。
教室に戻ると友人が寄ってきた。
「またアイツの所か?
 あんな奴といて楽しいの?お前も物好きだよな。」
その軽薄な口調に怒りが飛び火した。
「黙れよ」
俺は友人達を押しのけて自分の席についた。
友人達は何事かとこっちを見た。
俺は友達無くすよなぁ。と心の隅で思った。
友達って何だって少し思う。頭はまったく働かない。
チャイムが鳴って「友人達」は散り散りに分かれていった。
ドアの開閉音がやたら気になる。
でもドアのほうを振り返ることはしなかった。
休み時間になって。
初めてそいつが俺の席に来た。
顔を上げない俺の正面まで来て、
頭をぐしゃぐしゃ撫でて、
「お前はいい子だよな」
と言った。
もう一回キレた。
「何だソレ!」
大きな声で叫んで立ち上がると、そいつは俺の両肩をつかんでイスに戻した。
「いくら何でも目立ちすぎだ。」
小さな声でぼそっと言われる。
「テメェのせいだろ。」
俺はしっかり言い返した。

それからはたまに教室でも話すようになった。
そうだ、奴が一度教室で凄い笑顔を振り撒いていたときがある。
その日の昼休み、屋上で俺は胸倉を掴んで聞いたのだ。
「何のつもりだ」
そいつは笑顔のまま言った。
「職業柄愛想笑いというものを覚えた。正式名称営業スマイルだ。」
声は至極マジメだった。
すぐに止めるように言った。
「あぁいうほうがクラスに受けるんじゃないか?」
そう言うそいつに、
「俺が友達やめる」
と言ったら
「そうか。」
と言ってそれからしなくなった。
俺は少し嬉しかった気がする。
気のせいだろう。

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