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ついった
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屋上に来て思うのは世界の広さではなく、フェンスの中の狭さだ。
そんなことをそいつはいつか言った。
ヤキソバパンを頬張りながら。
そんな奴だったけど、それでもやはり学生らしく・・・人間らしく?
好きな子の話をしたことがあった。
俺はその時、特に好きなことかいなくて、まさかコイツからそんな話が聞けるとも思ってなかった。
まぁ目つきが悪くて愛想が無くても顔は悪くないし、つかカッコいいし。
モテても可笑しくない感じで。
でもそいつが好きな子が出来たと言うのだから。
俺はびっくりしたのだ。
そいつは屋上で空というかどこか空中の眩しいものを見るように。
少し目を細めて言った。
「好きな子がいる。」
「はい?」
まったくそんな話をしてなかったし。
「マジで?」
ひとまず聞き返してみたり。
「マジだ」
風が吹いた。
そいつの顔を見たら何かやたらキレイで。
恋をすると男も綺麗になるのかとか、何か考えてみた。
「うちのクラスの子?」
「鋭いな」
「だってお前部活してないし、バイトかクラスしかなくね?」
「一番右の列の一番前の子だ」
「あぁ・・・」
俺はすぐに顔が浮かんだ。
細い子だ。
白の似合う子で。
少し茶色のやわらかいウェーブの髪の子で。
まつげ長くて。
笑顔の可愛い子。
「面食い。」
言ってやった。
「どうだかな」
とぼけられた。
「告白するのか?」
「するだろうな。」
「手紙?」
「手紙で呼び出して、かな。」
俺は少し笑った。
「応援するよ。呼んでやろうか?放課後がいいよな」
「あぁ」
少し返事が濁った。
「早い方がいいな」
「いつから好きだったんだ?」
俺はからかった。
「わからない」
そいつはマジメに答えた。
本気なんだろう。
俺は何か嬉しかった。。
こんなことを俺に話してくれると思わなかったからか。
こいつの「普通」の言葉も凄く嬉しかった。

俺は奴と違い、女の子に気軽に話しかけられるような位置にいた。
俺は奴からの短い手紙を渡した。
「あいつからだ」
他の奴に何か言われない程度に自然に紙を渡して、
自然に声を落として言った。
彼女は目を大きくした。
俺は機嫌が良かった。
結果の報告は次の日の昼休みに聞いた。
(続く)

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